※以下、
アイルランド大使館より引用(2004年12月現在)
■環境
アイルランド島は中央部に石灰岩質の低地が広がり、その所々には丘陵が隆起しており、沿岸部にいくつか山岳地帯がある。北緯は51度30分から55度30分、西経5度30分から10度30分という、ヨーロッパの北西端に位置する。東に広がるアイリッシュ海はイギリスとの間を分かち、その距離は17.6〜192km、最深部は約200mある。他の三方の海岸には大陸棚による浅瀬があるが、幅は狭く、すぐに大西洋の深海へと落ち込んでいく。南部の山の尾根は旧赤色砂岩で覆われ、それを分断するようにして川の流れる石灰岩質の渓谷が走っている。それ以外の場所は花崗岩に覆われているが、北東部は玄武岩台地になっている。中央平野は氷河の堆積物である粘土と砂を含んでいる。所々に小高い丘があり、広大な沼地と無数の湖が点在している。
・バレン高原(クレア州)
アイルランド島は広範囲にわたって少なくとも2回、氷河の影響を受けた。氷河は島のあちこちに痕跡を残している――氷河の浸食によって丸みを帯びた岩、山間の湖、氷河によって削られた谷、氷河が通過したことを物語る砂や砂礫・粘土などである。特にクレア州とゴールウェー州にまたがるバレン高原は、氷河の作用によって形成された見事な地形を見ることができる絶好の場所である。
■気候
比較的温暖なメキシコ湾流と大西洋から四季を通じて吹き寄せる南西風の影響で、アイルランドの気候は安定しており、地域による気温の差はほとんどない。
最も寒いのは1月と2月で、平均気温は4℃から7℃であるが、最も暖かい7月と8月には14℃から16℃まで上がる。最低気温はマイナス10℃以下、最高気温は30℃を超えるが、どちらもめったにない。5月と6月は日照時間がいちばん長く、1日平均して5時間から7時間、太陽がさす。
年間の平均降水量は低地で800mmから1,200mmほどであるが、山岳部では2,000mmを超えることがある。月ごとの降水量はほぼ同じであるが、年間降水量の約6割は8月から1月にかけて降る。
■動植物
アイルランドは最後の氷河期の後にヨーロッパ大陸から分離した。そのため、この島に生息する動植物の種類は、ヨーロッパのどの地域よりも少なくなっている。
かつてはこの国の大部分が原生林に覆われていた。その頃のオークの森はほとんど伐採されてしまったが、森林再生計画が実行され、ベイトウヒやヨーロッパアカマツ、conterta、カラマツ、ドイツトウヒ、ベイマツなどが植林されている。また全島に自然保護地域や国立公園があり、徒歩以外に交通機関の一般乗り入れは禁止されている。
バレン高原(クレア州)には、最後の氷河期を生き延びた北極高山植物を含む石炭紀の石灰岩があらわれている。アイルランドの沼地には豊富な種類のミズゴケのほか、ヒースやスゲが見られる。南西地方(コーク州とケリー州)には、この地方特有の温暖で湿った気候によって豊かに植物が育まれている地区がある。アイルランドは海鳥のコロニーとして、また渡りをする水鳥にとっても重要である。アイルランドで記録されている約380種の野鳥うち、135種は国内で繁殖している。春と秋にはおびただしい数の野鳥がアイルランドに飛来し、冬にはグリーンランドとアイスランドから渡ってくる野鳥も数種類いて、全世界のグリーンランドマガンの75%がアイルランドで越冬する。その重要性に着目して、南東岸のウェクスフォード州に、国際的に重要な野鳥保護区が設立された。
内陸部の水辺にはハクチョウ、ガン、サギ・ツルなどの渉禽類、カモ、アジサシ、カモメの群が生息している。狩猟は厳しく規制されており、国が支援する保護計画によって狩猟対象の野鳥が増加している。珍しい鳥類としては、コチョウゲンボウ、ハヤブサ、ウズラクイナ、ベニハシガラスがいる。
河や湖には魚が豊富で、サケ、ブラウントラウト、チャー、ポーラン、ウナギといった固有種に加え、カワカマスやローチ、ニジマスなど、海外から持ち込まれたものもある。
哺乳類はヨーロッパの温帯地方と同様のものが生息しており、全部で31種を数える。中でもアイリッシュテンとアイリッシュヘアーは、島内で独自の進化を遂げた興味深い種である。他にも、アカシカ、キツネ、アナグマ、ウサギ、カワウソ、ハイイロアザラシやゴマフアザラシ、キタリス、ハリネズミ、その他多くのクジラ目の種がいる。両生類はカエル、ヒキガエル(ナタージャックヒキガエル)、イモリの固有種がそれぞれ1種ずついる。アイルランドにはヘビは生息せず、唯一生息する爬虫類はコモチカナヘビというトカゲである。
アイルランドの自然と建築遺産の保護・保全を担当しているのはドゥーチャスと呼ばれる、芸術・伝統・アイルランド語圏・諸島省である。ドゥーチャスという言葉にはいくつか意味があるが、そのなかには「天然の場所」と「遺産」という意味があり、この仕事にピッタリの言葉である。
■人口
アイルランドには石器時代から人が住んでいた。5,000年以上もの間、人類はヨーロッパ大陸中から西へと移動して、この国へと移り住んできた。古くはケルト人から、バイキング、ノルマン人、そしてイギリス人と、次々に移民が押し寄せ、現在の人口を構成するようになった。人口の多くはダブリン、コーク、リムリック、ゴールウェー、ウォーターフォードに集中しているが、国民の6割は人口1,000人以上の市や町で暮らしている。人口比率では若者が高い割合を占めている。これは近年景気が上向きになったことによるもので、総移民数の中でも顕著な増加を示している。現在の総人口は約390万人で、1881年以来最も多い数である。