※以下、
在日本国カンボディア王国大使館より引用(2004年12月現在)
■アンコール・ワットのクメール美術
クメール民族は、造形の才能に恵まれていました。
■全体的な特徴
創作物のうち、主として寺院に使用された石だけがどん欲な略奪者の手から逃れました。クメール民族は、素材を聖なる山として形づくり建設しようとしました。建物は、空間に置かれた彫刻だったのです。
初期の寺院は木でできていましたが、レンガや砂岩のような素材は短期間で積み上げ、彫刻のような様式や装飾を施すことができました。
■建築
クメール建築の基本的な要素は、単純な正方形の寺院です。内部の小室には偶像だけが安置され、位の高い僧侶しか入ることはできませんでした。信者が入れるのは、中庭だけでした。
木造の寺院の時代が過ぎると、7世紀以降は塔型の寺院がレンガで建造されるようになりました。10世紀の終わり近くになると、砂岩だけが使用されるようになりました。基礎となる部分と重厚な建築物はラテライトで作られました。テラスの上に1つだった塔は、後の時代には複数の塔が建造されるようになりました。このタイプの寺院は神に捧げられたり、王族や貴族の葬送の儀式に捧げらるものです。
また、クメール民族は山型の寺院も建造しました。これは、1つまたはそれぞれがメル山の5つの頂きに対応した5つの寺院塔が、いくつかのテラスの頂上に先端が細くなっていくピラミッド状に建造され、軸となる4つの階段で結ばれたものです。この特徴はバコン時代に始まり、バクヘン時代に発達し、バプアン時代にその最盛期を迎えました。
それが見事に組み合わされたのが、アンコール・ワットです。外側の囲いの正門は、3つの塔を結ぶ柱付きの回廊で構成され、そこには建物の正面にある模様が再現されています。回廊は、外壁の代わりに柱が使用されています。後の時代に建設されたテラスには、円形の巨大な石を4つの巨大な顔、つまり顔の形をした塔に仕上げたものが乗せられています。
アンコール・トムとプレア・カーンの門の前には、ナーガ(竜神)をもつ54体の神と悪魔の像があり、幸福を象徴する乳の海クルニングの神話を空間的に表しています。内側の壁には、レリーフの彫刻が一面に施されています。
■装飾彫刻の文化
クメール寺院は、あらゆる場所に葉飾りや花輪の装飾が施されています。また、彫像の飾りも多くあります。入り口や窓の上の横木、ドアのパネル、3角形の切妻壁には、神の姿や神々の伝説を物語る情景の彫刻が、石でできた主寺院の偶像の周りに施されています。バンテイ・スレイとバンテイ・サムレの切妻壁は、クメール美術の最も美しい造形の粋の1つです。
クメール民族はまた、神々や王の生涯を膨大なレリーフで物語っています。
アンコール・ワットの内壁には、インドの壮大な叙事詩、マハーバーラタとラーマーヤナを主題にした素晴らしいレリーフがあります。西側の回廊には、ビシュヌに率いられた神と悪魔とともに有名な乳の海クルニングのレリーフがあり、バヨンの回廊もレリーフで飾られています。
寺院内にあったこれらの作品は、プノンペンのカンボディア国立博物館で保管されています。保管されているのは、前アンコール時代の高貴な彫刻、クレン様式の彫刻、バヨン美術、ジャヤバルマン7世の彫刻、クメール王朝の青銅や宝石の財宝などです。
■アンコール美術の主要な時代
クレン様式
プレア・コー様式
バクヘン様式
コ・ケル様式
バンテイ・スレイ様式
クレアン様式
バプアン様式
アンコール・ワット様式
バヨン様式